母の日・父の日

毎年この時期になると、連れ合いが「母の日に何か贈る?」「父の日はどうする?」と訊いてくるが、この件について、私には何の計画も無いのが常である。

ニュースや広告では、「両親に感謝の気持ちを贈りましょう」「今年もカーネーションの出荷が…」などと囃し立てているが、なぜか私には他人事のようにしか感じられない。

数日後には、連れ合いが「○○でいい?送っておくよ。」と言って、自身のご両親や私の両親に宛ててネットでプレゼントを手配しておいてくれる。

多分、連れ合いがいなければ、私はとうの昔に母の日・父の日がいつなのかもわからなくなっていたに違いない。

それほどまでに、私は自分の両親に対して感謝の念を持ち合わせていない不孝者なのだ。

(ただ、義理の両親には、こんな自分に親しく接してくれることに対し、とても感謝している。)

もしかしたら、数年後には訪れるかもしれない父あるいは母の葬式にさえ、私は顔を出さないのかもしれない。

子供の頃、両親が私につらくあたったというわけではなかったが、逆に愛情を注いで育ててくれたようにも思えないのである。

一体、私をどのような人間に育てたかったのだろう。

何年も前のことだが、それを母に訊いてみたところ、「普通に。ただ、普通に育ってくれればよかったのよ。」との返事だった。

私は驚き、落胆し、そして納得した。

なるほど、経済的にも文化的にも身体的にも、何の取り柄もない普通の人に育ってしまったわけだ。